包丁で餅を切っていたら、指まで切った。

みるみる溢れる血と痛みに、絆創膏ではちょっと間に合わないかも、と思いながら流水を掛けつつ傷口を抑え続けた。
鏡開きで指まで開く己のポンコツ具合。情けない。
指先だからいつまでも血が止まらないのだろう、とは思ったがガーゼで圧迫し続けてもいまいちで、諦めて病院へ。

縫う程でも無いだろうけど外科を受診したらやっぱり縫われるのかなやだ怖い、などと思いながら診てもらったが、なんなら自分でキズパワーなんちゃらを貼っておけばよかったぐらいに簡単な処置であっさり終了。
だが私は病院に行った事で化膿止めの飲み薬とそして安心感を、得た。
この怪我が元で死んでしまえたら、なんて考えながらも結局病院へ行って安心しているのだから、我ながら呆れる。

彼があの日あの時どれ程の激痛に苦しんだかと思うと、私のこんな怪我なんて痛みの内に入らない。

そして、怪我をした指が左薬指であった事に、私は彼に怒られているような気がした。
近頃の家での私の態度に、

『お父さんにそんな態度取ったらあかん』

と、彼が私を叱ってくれたのではないか。
そんな気が、した。

なんて言うと、“ 彼は貴女を守ってくれないような人ですか? ” と思われてしまうかもしれないが。
私が大切にしているぬいぐるみにちょっと意地悪をしたり、動物の感動エピソード等を観て泣いている私に何度も同じ物を見せては泣かせたり。
彼にはそういう、好きな子をついいじめてしまう小学生男子のようなところがあった。
もう少しぐらいはストレートに優しくしてほしいと思う事もあったが、結果として私も笑っており、二人で楽しんでいて笑い合う。そんな日常だった。

だから、この左薬指の怪我も彼なら有り得る。
だから、泣いている私を見ても心配せずに、笑っていてほしい。
笑って見守っていて、ほしい。




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